硬派な盥回し
- 一見目的がない
- やはり、本気の盥回しと言えば、一見するところ目的なくぐるんぐるんと各部署を回されていつつ、実は深いところで関係があるというところが基本であろう。先日も我役場なんぞに「全国高凧揚げ選手権大会地方予選準備実行委員会」の問い合わせで電話した際
「はい、おっぺけ町役場です」
「我、凧揚げの点について尋ねたき議ありや、存分につなげ」
「少々お待ちください、担当のものと変わります」
「はい、海産物油類食品課、本日担当の上辻です」
「いや、我高い高いと揚げる凧の話するゆへ、テルしたなり。我の話し方が悪かったというのであれば謝ろう、そが過ちであるならば、許さぬ事この上なし」
「少々お待ちください、担当のものと変わります」
「はい、幼児愛玩具製造許可申請課、本日担当の北溝口です」
「いや、確かに凧揚げは幼児愛玩具なれど、我体操競技的凧揚げにて、遊びじゃねえんだべらぼうめ、顔だしやがれ」
「少々お待ちください、担当のものと変わります」
「はい、国民的体育大会次回大会準備委員会委員長補佐の下北鈴木田です」
と、その後暗くなるまで盥回しさる。全く見事としか言いようのなき盥回しにて盥回しの基本中の基本にて、スウザ作曲の美中の美に匹敵するといへよう。盥回し上級者にはもの足りぬであろうが、地方公共団体としてはかなりの強者にて、盥回し協議委員会(略称GTRO)の推薦に値するといへよう。
- 細分化が進んでいる
- また、一般企業であるなるば、細分化による縦割りの効果も期待できよう。縦割りこそ盥回しの美なれば、いずくんや細分化せなりや。
「はい、海山商事です」
「我、パチンコ関係の出版を手がけておる目読倶楽部の編集者なり、担当を出せ、出さぬば死」
「少々お待ちください、担当のものと変わります」
「はい、パチンコ関連書籍、本日担当の穴子です」
「よくぞ電話にでられた、我画期的スロットの雑誌編集者なり」
「スロット関係ですね、担当のものと変わります」
「はい、スロット関係、本日担当の河豚田です」
「よくぞ電話にでられた、我画期的スロットの雑誌編集者なり」
「どのような雑誌でございましょうか?」
「うむ、よくぞお聞きいただけた、実は目押しを」
「少々お待ちください、担当のものと変わります」
「はい、目押し課長の山椒魚です」
「よくぞ電話にでられた、我画期的スロットの雑誌編集者なり」
「どのような雑誌でございましょうか?」
「うむ、よくぞお聞きいただけた、実は目押しをによりチェリーを」
「少々お待ちください、担当のものと変わります」
「はい、目押し、チェリー部門統括デスクの三日月夜です」
この後、我の話を六十余人ほどのものが聞いてくる。我全国行脚的講演活動大会関西予選会以来の弁舌にて、熱弁の故周囲五度ほど熱発したゆへ、冷房業界も大もうけ。全くもって細分化万歳である。
- 元に戻れ
- やはりぐるんぐるんと回すのである。一度や二度は元に戻ってこその盥回したるや。先日つまらぬ事で電話したとある個人商店は、従業員数五人であるが故、盥回しノルマ達成のため同じ人物が最大九回、最小五回電話に出没す。また東上御手洗田なる社員なぞは「担当のものと変わります」といいつつ「はい、ケント紙担当の東上御手洗田です」と言い直す始末。つい先ほどまでは蟻塚捕獲部課長であったのであるが。まさにマルチ人間にて感動的人物であり、後日「感動日本人物外伝」にて東上御手洗田氏が紹介されたのは至極当然にて全国民号泣。