硬派なハレー彗星
- 長い
- ハレー彗星たるもの、やはり尾は長くなくてはいけぬ。近年飛来したる彗星なぞは、すべて尾が短くて彗星とも言えぬものばかりなり。そのようなもの、ありがって見るゆえ、彗星の方もつけあがり、尾のなき彗星次々と出現す。そこへいくとハレー彗星は違う。先日も地平線の先から、つま先まで尾ののびた雄志を見せてくれたではないか。前回の出現では小さくて尾が見えぬと申すものも確かにおろう。しかし、あれは偽ハレーにていわゆる悪者。あれはハレーの地位をおとしめんとした南蛮の輩どもがしむけた刺客なり。本当のハレー彗星は傷つき、真の彗星が傷をいやすと言われる太陽系の山奥の温泉にて湯治をばしておったなり。したがいて、次の出現では前々回の弐倍、二乗して四倍の尾の長さをば見してくりょう。つまりは地球を壱周以上、七回半ほど回るような尾の長さになるゆへ、覚悟せい。
- 誰でも知っている
- たといば、百武彗星なぞは、まあ誰でも知っていたであろうが、横町のご隠居はどうであろうか。先日百武彗星をご存じなりや、と、たづねしおり「百武、ああ、ありゃ甘くっていけねえや、べらんぼうめ」とのご返事。しかし、ハレー彗星は「ハレー、ああ、76.02年に一度地球に舞い降りる救世主」と大変ご熱心に語られた。また、斉藤にヘールボップ彗星を知っておるかと聞いたところ、「ああ、米国のレスリング戦士なりや」と答える。だうも、斉藤はニック・ボックウィンクルと間違えたやうだ。しかし、ハレー彗星となると、「ハレーはうるさいなり。そもそも我とハレーの出会いは小学校のおり、竹馬の友のシュワルナゼと談笑していた時なり。辺り一面にわかに明るくなり、ぱっとハレー飛来し、西の方角に去っていった。同月同日同時刻にハレーを見たという者、全国に32人おるゆへ、本当の話であろう」と熱く語った。NASAもハレーの存在を確認しておる。全くハレーは国際派なり。
- 一度見たらまず死ぬまで見れぬ
- ハレーを見たら死期を悟ってもよい。何故なるば、現在の人類の半数以上は二度見ていないからである。三度見た者はまずいない。これはハレーから毒電波が出るからである。この研究に携わって二度ハレーを見た博士(東京大天文大学の高名なる成氏田博士である)も、三度目を見る直前に死んだのは記憶に新しい。中国の山奥にすむ、高名な仙術氏の中に三度見たと言う者もおるが、彼はまだ若き者(どう見ても十四〜五歳)ゆへ、そういって客をとろうと言う汚き作戦であろう。しかし、彼の元にはハレー仙人として崇める信者が五万といる。全く許せぬゆへ、今度成敗する所存。